BRC Current Technology February 2013

RIKEN BRC
BRC Current Technology
February 2013

6. マウス顕微授精の大規模要因解析

マウス顕微授精実験の効率化のための
基礎資料として

顕微授精技術(またはIntracytoplasmic sperm injection, ICSI)は、受精現象の解明や雄性不妊治療に広く用いられている。マウスの顕微授精は、その安定した成績により、すでに多くの研究室において取り入れられており、凍結不動精子や精子形成異常などの場合でも産子を得ることができる。しかし、どのような生物学的あるいは技術的な要因がマウス顕微授精の効率を左右するか不明な点が多い。そこで、遺伝工学基盤技術室では、5x3x2 の大規模要因解析を行った(three-way ANOVA)。解析した要因は、系統(ICR、C57BL/6、DBA/2、C3H/He、129/Sv)、雄性生殖細胞(精巣上体精子, 伸張あるいは円形精子細胞)、そしてその凍結処理の有無である。細胞種は、調べたすべてのパラメーター(卵子生存率、分割率、着床率、出生率)に影響を与えた。系統は、卵子生存率、分割率、出生率に影響を与えたが、凍結処理はいずれのパラメーターにも影響は無かった。精子と伸長精子細胞は、着床率と出生率において円形精子細胞よりも優れていた。精子と伸長精子細胞は、いずれのパラメーターでも差は無かった。 ここで得られた結果は、マウス顕微授精が関わる研究において、動物数、時間、手間などの効率化に役立つと期待される。
(理研バイオリソースセンター 遺伝工学基盤技術室)

 

Reference: Ogonuki et al., PLoS ONE 5(6): e11062. doi:10.1371/journal.pone.0011062


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