哺乳類表現型オントロジー(Mammalian Phenotype Ontology:MP)の日本語版構築に関する論文が、日本先天異常学会の学術誌 Congenital Anomalies に掲載されました。
論文
Takatsuki T, Bello SM, Kushida T, Dohi E, Yoshiki A, Fujiwara T, Goto S, Masuya H.
Development and Dissemination of the Japanese Translation of the Mammalian Phenotype Ontology as an Open Resource. Congenit Anom (Kyoto). 2026 Jan-Dec;66(1):e70070. doi: 10.1002/cga.70070. PMID: 42396930
MP は、米国 Jackson 研究所 Mouse Genome Informatics(MGI)が開発した、データベース上で哺乳類表現型を記述するための標準語彙集であり、世界中の主要な生物医学データベースで利用されています。本研究では、約 14,000 語からなる MP 語彙を日本語化し、その成果が MGI の公式 MP International Edition に採用されました。これは、MP の国際化において日本語プロファイルが正式に組み込まれた重要な成果です。ヒト疾患表現型を記述する Human Phenotype Ontology(HPO)の日本語化に続き、モデル動物の表現型語彙についても日本語で利用できる基盤が整備されたことになります。また、日本先天異常学会用語委員会が整備・公開してきた「実験動物先天異常データベース(和文・英文)」は、本研究において、発生異常および先天異常に関連する用語の正確性と一貫性を支える参照用語集として活用されました。これにより、AI 翻訳のみでは担保しにくい専門性が補完され、日本語 MP の品質向上に貢献しました。
本成果は、日本先天異常学会が長年整備してきた学術用語が、国際標準オントロジーおよび AI 時代の生命科学データ基盤を支える知識資源として活用されたことを示す重要な事例です。今後、日本語 MP を通じて、マウス表現型、ヒト先天異常、希少疾患研究を横断するデータ連携の促進が期待されます。




