時空間特異的遺伝子組み換えを可能にする 新規Creドライバーマウス

RIKEN BRC March 2022
Mouse of the Month

時空間特異的遺伝子組み換えを可能にする
新規Creドライバーマウス

C57BL6/J-Actb<em1(tetO-PA-cre)ttaka> (RBRC11090)

tdTomatoの発現写真

Courtesy of Takeshi Takarada, Ph.D., Tomoka Takao, Ph.D.

TRE-PA-CreマウスとRosa26-tdTomatoマウスを交配してできたTRE-PA-Cre: Rosa26-tdTomatoマウスにHTV法でtTAを静注して青色LEDを照射 (左)。肝臓におけるtdTomatoの発現:蛍光灯下(右上)、青色LED(右下)。

Cre/loxPシステムを用いた時間・組織特異的遺伝子発現制御は、生体内での遺伝子機能解析ツールとして、生命科学分野で汎用されています。これまで、組織特異性を実現するために、各種プロモーター制御下でCre酵素を発現するCreドライバーマウスが開発され、発現特異性だけでなく時期特異性も高めるために、タモキシフェン投与によるCre酵素発現誘導法が開発される等、様々な工夫がなされてきました。しかし、特異性、効率、侵襲性という面での課題は現在も残っています。
今回ご紹介するTRE-PA-Creマウス(RBRC11090)は、Tet on/offシステムと光応答性Cre/loxPシステムの組み合わせにより、非侵襲的にかつ、部位・時空間特異的に生体内での遺伝子組み換えを可能にする新規Creドライバーマウスです。本系統はハウスキーピング遺伝子として知られるActb遺伝子座にテトラサイクリン応答因子(TRE)と光応答性Cre/loxPシステム(PA-Cre)を挿入したノックインマウスで、tTA存在下で、光スイッチタンパク質が付加されたCre-N末端側断片とCre-C末端側断片とを発現します。この段階ではCre酵素は不活化状態ですが、青色光照射(470nm±20 nm)を照射することで、Magnet結合により、Cre-NとCre-Cとが結合し、活性化Cre酵素として機能することになります。
TRE-PA-Creマウスは、従来法よりもよりコントロールされた遺伝子発現制御を可能にすることから、今後の生命科学研究の発展に大きく貢献することが期待されます。

 

Depositor : 宝田 剛志 先生、髙尾 知佳 先生
岡山大学
Strain name : C57BL6/J-Actb<em1(tetO-PA-cre)ttaka>
RBRC No. : RBRC11090
Reference : [1] Takao T, Hiraoka Y, Kawabe K, Yamada D, Ming L, Tanaka K, Sato M, Takarada T.
Establishment of a tTA-dependent photoactivatable Cre recombinase knock-in mouse model for optogenetic genome engineering.
Biochem Biophys Res Commun. 2020 May 21;526(1):213-217.

 

March 2022
Saori Mizuno, Ph.D.
Contact: Experimental Animal Division, RIKEN BioResource Research Center (animal.brc@riken.jp)
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