BRC Current Technology April 2012

RIKEN BRC
BRC Current Technology
April 2012

4. 異所性生殖細胞移植技術

腎臓皮膜下で機能的配偶子を作出する

Fig.1 Fig.2
哺乳動物の生殖細胞は、着床胚のエピブラストから発生します。この最初の生殖細胞は、始原生殖細胞(primordial germ cells; PGCs)と呼ばれ、その核内では、生殖細胞特有のジェネティック(減数分裂)あるいはエピジェネティックな変化を進行させます。これらの変化は、厳密な内因性あるいは外因性の制御の元にあることから、PGCの分化発生は、時間的空間的依存性が高いと考えられています。
これが、体外で生殖細胞を発生させることが難しい一つの原因です。しかし、もしPGCが異所性に、成体動物の体内でも発生するのであれば、PGCの操作技術は飛躍的に発達すると期待されます。そこで、胎齢12.5日のマウス胚から分離したPGCを、生殖巣の体細胞とともに腎臓皮膜下へ移植し、その発生を観察しました。 すると、約4週間後には、精巣あるいは卵巣様の組織が構築され、その内部には、発生中の生殖細胞が観察されました。これらの円形精子細胞あるいは卵胞卵子は生殖細胞としての機能を有しており、卵子体外成熟や顕微授精などの生殖補助技術を使うことで、正常な産子まで発生しました。 よって、PGCの発生は、これまで考えられていたよりも、時間的空間的に融通性があることが明らかになりました。本技術成功のカギは、体細胞の利用にあります。生殖巣の体細胞は比較的集めやすいことから、今後、この異所性PGC移植技術が貴重な動物資源の保存やES細胞・iPS細胞からの生殖細胞作出に応用されると期待されます。
(理研BRC遺伝工学基盤技術室)

 

Reference: Matoba et al., Biol. Reprod. 84, 631-638 (2011)
Comment in: Roelen BA., Biol. Reprod. 84, 619-620 (2011)


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