BRC Current Technology July 2011 |
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1. High Osmolality Vitrification (HOV)ドライアイス温度輸送を可能にした胚ガラス化保存法 |
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RIKEN BRC では、年間100系統以上のマウスを凍結胚で提供を行っています。この凍結胚輸送には、ドライシッパーと呼ばれる特殊な容器が使われます。ドライシッパー内には、吸収剤が埋め込まれており、そこに液体窒素が吸収されることで、-190℃以下という超低温で安全に凍結胚が輸送できます。 しかしドライシッパーは重く、高価であり、しかもその輸送には往復分を支払わなければなりません。もちろんドライアイス詰め輸送ができれば良いのですが、ドライアイス温度(-80℃)では、通常のガラス化(vitrification)保存胚は脱ガラス化による細胞内氷晶の形成により死滅してしまいます。そこでBRCでは、高知大学との共同で、通常のガラス化保存液(EFS40)の浸透圧を高めることにより、-80℃においても数日間ガラス化が保持できる保存液を開発しました(Jin et al., 2010)。 最近、さらに改良を加え、クライオチューブ内で数日~数ヶ月の-80℃保存が可能な保存液EFS45cの開発に成功しました。この保存液を利用することにより、 C57BL/6 胚を国内はもとより、海外FIMRe 機関であるMRC (U.K.) およびUC Davis (U.S.A.) へもドライアイス容器を用いて胚を輸送することに成功しました(上記データ)。 将来の凍結保存胚輸送、特にマウスバンクからの提供業務に用いられることが期待されます。
※本技術は、文部科学省NBRP基盤技術整備プログラム「実験動物マウス及びラットリソースの輸送システムの開発」事業として、高知大学、放射線医学総合研究所、 Medical Research Council (英国), University of California, Davis (米国) との共同研究により開発されました。 |
Reference: | Jin et al., Biol. Reprod. 82, 444-450 (2010) Mochida K & Ogura A, (review) J. Mamm. Ova Res. 27, 87-92 (2010) |