BRC Current Technology June 2022

RIKEN BRC BRC Current Technology
June 2022

18. マウスの産子数を1.4倍に増加させることに成功

妊娠・出産に影響しない抗インヒビンモノクローナル抗体を開発

(a)(b)(c)(d)

(a) 抗インヒビンモノクローナル抗体 (AIMA) を用いた過排卵処置と交配のスケジュール。(b) AIMA 投与によりマウスで雌1匹からの産子数が1.4倍に有意に増加。(c) AIMA投与後に in vivo ゲノム編集 (i-GONAD) を実施することで、非投与群より産子数が改善。(d,e) i-GONAD によりチロシナーゼ遺伝子をノックアウトされたアルビノ(白色)の新生仔および子。*有意差あり(P < 0.05)

哺乳動物では卵胞刺激ホルモン(FSH)などにより、動物種毎に雌1匹から産まれる子供の数が決められています。私達はFSHの分泌量を抑制する働きを持つインヒビンを無効化するために、抗インヒビンモノクローナル抗体(AIMA)を作製・選抜し、適期に投与することで産子数を増加させることに成功しました [1]。C57BL/6J系統とICR系統で約1.4倍に増加し、正常に発育する産子であることを確認しました。本法を体内電気穿孔法(i-GONAD)によるゲノム編集 [2] に応用したところ、i-GONAD処置後の産子数が1.5倍に増え、非投与群と同等の変異率が確認されました(東海大学大塚正人教授らとの共同研究)[1]。
 このAIMA投与による産子作出方法は、繁殖効率改善が必要なマウス系統や高齢マウス、i-GONAD等の処置のための繁殖成績の改善などに効果的と考えられます。

 

References: [1] A Hasegawa et al., “Use of anti-inhibin monoclonal antibody for increasing the litter size of mouse strains and its application to in vivo-genome editing technology,”
Biol. Reprod. 2022 Apr 2:ioac068. doi: 10.1093/biolre/ioac068.
[2] M. Ohtsuka et al., “i-GONAD: a robust method for in situ germline genome engineering using CRISPR nucleases,”
Genome Biol. 2018 Feb 26;19(1):25. doi: 10.1186/s13059-018-1400-x.


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