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20. 減数分裂停止による無精子症マウスからの
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一次精母細胞を用いた顕微授精は既に1998年に産仔の報告がありましたが[1]、その効率は4%と低率でした。そこで、『卵子は体細胞に比べて細胞質サイズが大きいために染色体分配を間違えやすい』という報告[2]をヒントに、顕微操作にて細胞質サイズを半分程度に減少させた卵子(図a)に一次精母細胞(b矢頭)を顕微注入したところ、染色体分配異常が大幅に改善され、産仔率がおよそ20%に改善されました(c )[3]。本法を用いて、一次精母細胞で精子発生が停止している無精子症マウスのレスキュー実験を行ったところ、3系統中2系統で産仔が得られました[3]。一次精母細胞は多くの無精子症男性にもその存在が認められているので、本法が新たな不妊治療法の一つとなる可能性が示されました。 |
References: | [1] | Ogura, A et al. Development of normal mice from metaphase I oocytes fertilized with primary spermatocytes. PNAS 95, 5611 (1998) |
[2] | Kyogoku, H and Kitajima, T. Large cytoplasm is linked to the error-prone nature of oocyte. Dev Cell 41, 287 (2017) |
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[3] | Ogonuki, N et al. Birth of mice from meiotically arrested spermatocytes following biparental meiosis in halved oocytes. EMBO Reports e54992 (2022) |