| 体外受精はマウスの系統保存や遺伝子改変系統の作出などに必要不可欠であり、世界中の多くの施設で用いられてます。その一般的なプロトコールでは、10-12週齢以降の雄の使用が推奨されていますが、その根拠と言えるデータは明らかにされていません。本研究では、最も早く体外受精に用いることのできる雄の日齢を調査しました。
C57BL/6マウスでは、35日齢で50%、37日齢以降で90%以上の雄で精巣上体尾部に精子が到達していました(図A)。最若で37日齢の雄の精子から受精卵が得られ、さらに40日齢以降で70%以上の高い受精率が得られることが分かりました(図B)。また、還元型グルタチオンの体外受精液への添加が効果的でした。最終的に40日齢の雄から得られた受精卵の移植で95%が着床し、52%が仔へ発生しました(図C)。
以上より、40日齢以上の雄の精子は安定的に体外受精に利用でき、自然交配や従来の体外受精のプロトコールよりも約1ヵ月早く次世代を作出することができるようになりました(図D) 。この技術により、生育期に発症する病態モデルマウスや発育不良個体、戻し交配によるコンジェニックマウス作製などでも効果的と考えられます。
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