新規タンパク質ノックダウン技術 オーキシンデグロン(AID) 2法

RIKEN BRC February 2022
Mouse of the Month

新規タンパク質ノックダウン技術
オーキシンデグロン(AID) 2法

B6;B6D2-Tg(CAG-OsTIR1-P2A-mAID-EGFP-nanoluc)#16Ysa (RBRC11438)
B6;B6D2-Tg(CAG-OsTIR1-P2A-mAID-EGFP-nanoluc)#19Ysa (RBRC11439)

シグナル比較

Courtesy of Yumiko Saga, Ph.D.

今回開発した蛋白分解系マウス(RBRC11438)と交配した妊娠マウスに、オーキシンアナログ(5-Ph-IAA)を投与すると、胎仔のレポーターEGFPは速やかに分解され、1時間後にはシグナルが消失する。

タンパク質機能を探索する手段として、細胞内タンパク質量を調節し、解析する手法は有用です。従来、遺伝子発現を制御する、遺伝子ターゲティング法やRNAi法などがよく用いられていますが、最近、より迅速に、より直接的にタンパク質発現制御を行う、デグロン技術が注目を集めています。デグロン技術は、タンパク質分解を誘導するペプチド配列(デグロン配列)を標的タンパク質に付加し、リガンドを介して、タンパク質分解・除去を誘導する手法です。今回ご紹介するオーキシンデグロン(AID)2法[1]は、2009年に先行して発表されたAID法[2,3]の改良版で、細胞内のユビキチン・プロテアソーム経路と植物のオーキシン分解経路を利用して開発されました。オーキシン結合部位に変異を導入したTIR1(F74G)と、オーキシン誘導性デグロンタグAID、リガンドとなるオーキシン類似化合物5-Ph-IAA、3つの組み合わせにより、特定のタンパク質の分解を実現します。AID2法は、従来のAID法と比較して、リガンド非添加時のリークが少なく、必要なリガンド濃度も低く、タンパク質分解に必要な時間も短縮されているのが特徴です。
理研BRC実験動物開発室には、CAGプロモーター制御下で、TIR1(F74G)とテグロンタグAID及び、蛍光タンパク質EGFPを発現するトランスジェニックマウス(RBRC11438, RBRC11439)が寄託されています。本系統では、マウス腹腔内にリガンド5-Ph-IAAを投与することで、マウス生体内で、AID2法を実現し、そのタンパク質分解の程度を蛍光モニター可能です。AID2法はタンパクレベルでの発現ノックダウンを可能にする新規技術であり、今後、生命科学研究においてだけでなく、医学、創薬分野など様々な分野での応用が期待されます。

 

Depositor : 相賀 裕美子 先生
国立遺伝学研究所
Strain name : B6;B6D2-Tg(CAG-OsTIR1-P2A-mAID-EGFP-nanoluc)#16Ysa
RBRC No. : RBRC11438
Strain name : B6;B6D2-Tg(CAG-OsTIR1-P2A-mAID-EGFP-nanoluc)#19Ysa
RBRC No. : RBRC11439
References : [1] Yesbolatova A, Saito Y, Kitamoto N, Makino-Itou H, Ajima R, Nakano R, Nakaoka H, Fukui K, Gamo K, Tominari Y, Takeuchi H, Saga Y, Hayashi KI, Kanemaki MT.
The auxin-inducible degron 2 technology provides sharp degradation control in yeast, mammalian cells, and mice.
Nat Commun. 2020 Nov 11;11(1):5701.
[2] Nishimura K, Fukagawa T, Takisawa H, Kakimoto T, Kanemaki M.
An auxin-based degron system for the rapid depletion of proteins in nonplant cells.
Nat Methods. 2009 Dec;6(12):917-22.
[3] Natsume T, Kiyomitsu T, Saga Y, Kanemaki MT.
Rapid Protein Depletion in Human Cells by Auxin-Inducible Degron Tagging with Short Homology Donors.
Cell Rep. 2016 Apr 5;15(1):210-218.
Related program : NBRP基盤技術整備プログラム
Related DNA resources in RIKEN BRC : オーキシンデグロン法 (AID system) によるタンパク質発現制御

 

February 2022
Saori Mizuno, Ph.D.
Contact: Experimental Animal Division, RIKEN BioResource Research Center (animal.brc@riken.jp)
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