着床前胚での性別判定を可能にする 蛍光レポーターマウス

RIKEN BRC July 2023
Mouse of the Month

着床前胚での性別判定を可能にする蛍光レポーターマウス

B6;129B6-Tg(CAG-Su9/tdTomato/T2A/Puro)1GAitn (RBRC11535)

Y-mtRFP

X-GFP/Y-mtRFPマウスと野生型雌マウスを交配して得られた胚盤胞期胚(左)と産仔(右)。着床前からRFP陽性の雄(*)と、GFP陽性の雌を区別できる。

今回ご紹介するY-mtRFPマウス(RBRC11535)は、Y染色体上にあるDdx3y遺伝子のエキソン1とエキソン2の間に、トランスジーン(CAG-Su9-tdTomato-T2A-Puror)がDdx3y遺伝子とは逆向き方向で挿入されています。緑色蛍光タンパク質(GFP)と区別しやすい赤色蛍光を発するtdTomatoをY染色体上でユビキタスに発現すること、ミトコンドリア位置決定シグナル(Su9)をtdTomatoのN末端側に挿入することで、tdTomatoの細胞毒性に起因すると思われる、出生後の致死の表現型を回避していることが本系統の特徴です。Y-mtRFP雄マウスを野生型雌マウスと交配して採取した受精卵のほぼ半数が着床前段階で赤色蛍光シグナルを有していたことから、XY卵は着床前の段階でtdTomato陽性胚として認識されたと報告されています。さらに、ユビキタスに発現するGFPをX染色体に導入したトランスジェニックマウス(RBRC02032)との交配で、X-GFP/Y-mtRFPマウスを作出し、より明確に着床前胚の性別判定が可能になったとも報告されています。Y-mtRFPマウスは性染色体が関連する幅広い研究分野に有用な蛍光レポーターツールです。

 

Keywords : 性染色体、着床前胚、tdTomato、性別判定、ミトコンドリア
Depositor : 磯谷綾子先生 (奈良先端科学技術大学院大学)
Strain name : B6;129B6-Tg(CAG-Su9/tdTomato/T2A/Puro)1GAitn
RBRC No. : RBRC11535
Reference : [1] Hirata W, Tomoda T, Yuri S, Isotani A.
Generation of the Y-chromosome linked red fluorescent protein transgenic mouse model and sexing at the preimplantation stage.
Exp Anim. 2022 Feb 9;71(1):82-89.
Related mouse resource : B6;B6C3-Tg(CAG/Acr-EGFP)CX-FM139Osb (RBRC02032)

 

July 2023
Saori Mizuno, Ph.D.
Contact: Experimental Animal Division, RIKEN BioResource Research Center (animal.brc@riken.jp)
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