バリア施設におけるハンタウイルスと白癬菌の検査間隔を現行の2ヶ月毎から半年毎に変更しました
ハンタウイルス(Class A病原体)ならびに白癬菌(Class B病原体)はマウスに感受性がある人獣共通感染症病原体であることから、BRCでは設立以来、以下の検査体制を敷いてきました。(病原体のClass分類については<マウス系統の品質検査>を参照)
(1) | ハンタウイルスを含むClass A病原体については、寄託マウスを個体毎に血清検査を行います。 |
(2) | 清浄化前の寄託マウスの飼育施設の定期モニタリングでは、3ヶ月毎に囮マウスを用いて、ハンタウイルスおよび白癬菌を含むClass AおよびB病原体を検査しています*。 |
(3) | 体外受精あるいは帝王切開等の方法により清浄化操作を施したマウスについては、里親を用いて、両病原体を含むClass AおよびB病原体の検査を行います*。 |
(4) | 清浄化したマウスのバリア飼育施設の定期モニタリングでは、2ヶ月毎に囮マウスを用いて、両病原体を含むClass AおよびB病原体の検査を行います*。 |
* 一部のマウス系統についてはClass CならびにClass Dの検査を行います。 |
このたび、上記(1)から(4)のこれまでの検査結果を検討した結果、2013年8月から(4)におけるハンタウイルスおよび白癬菌の検査間隔を現在の2ヶ月毎から半年毎に変更することといたしました。変更の主な理由は次の点です。
A) | ハンタウイルスの実験用マウスにおける自然感染は確認されていない[1]。 |
B) | ハンタウイルスはマウスでは垂直感染をしないと報告されている[2]。 |
C) | ハンタウイルスおよび白癬菌は清浄化操作により確実に排除可能である。 |
D) | ハンタウイルスは上記(1)から(4)の検査で、白癬菌は上記(2)から(4)の検査で2001年以来、陽性の例がない。 |
なお、今回の変更はハンタウイルスならびに白癬菌に関し、上記(4)の検査間隔を半年毎に延長するのみであり、(1)から(3)の検査については従来通り行います。ハンタウイルスと白癬菌の感染は、それぞれ(1)から(3)、もしくは(2)と(3)の検査で確実に検出できると考えています。
BRCでは今後も微生物検査に関する見直しを適宜行いますが、その都度、利用者の皆様にはご説明をさせて頂きます。ご不明な点、ご質問、ご意見などございましたら、animal.brc@riken.jpまでご連絡をお願い申し上げます。
[1] | 「実験動物感染病の対応マニュアル」前島一淑監修 株式会社アドスリー p.98, 2000 |
[2] | “Lack of vertical transmission of Hantaan virus from persistently infected dam to progeny in laboratory mice”, M. Taruishi et al. Arch. Virol. 2008. 153(8): 1605-1609. |
連絡先:理化学研究所 バイオリソースセンター
実験動物開発室
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