オキシトシン受容体(OXTR)機能解析ツール

RIKEN BRC September 2023
Mouse of the Month

オキシトシン受容体(OXTR)機能解析ツール

B6;Cg-Oxtr<em1(1xPA/T2A/tdTomato)Yinn> (RBRC11686)
B6;Cg-Oxtr<em2(1xPA/T2A/icre)Yinn> (RBRC11687)
B6;Cg-Oxtr<em3(3xPA)Yinn> (RBRC11688)

Oxtr KI mice

オキシトシン受容体(Oxtr)に対する市販抗体は特異性が低く脳組織で使用できないため、C末端にエピトープタグ (PAタグ)を付加して、タグに対する特異的抗体を用いることによりOxtrタンパク質の検出を可能にしました。また、2Aペプチド配列を利用し、Oxtr発現細胞においてtdTomato蛍光レポーターやCre組換え酵素を発現するマウスツールを開発しました。

オキシトシン(OXT)は、視床下部で産生される神経ペプチドです。以前にオキシトシン産生ニューロンのCreドライバーOxt-iCre KIマウス(RBRC11316)をご紹介しました[1]。今回はそのオキシトシンの受容体(OXTR)の機能解析に有用なKIマウスを4系統ご紹介します。OXTRはGタンパク質共役受容体(GPCR)ファミリーの1つで、脳内のさまざまな部分の細胞膜上で発現し、OXTシグナルを細胞内へと伝達する役割を担っています。寄託者の井上高良先生、井上(上野)由紀子先生らはゲノム編集技術を用いて、Oxtr遺伝子の終止コドン上流に各種フラグメントを挿入し、赤色蛍光レポーターマウス(RBRC11686: Oxtr<1xPA-tdTomato>)、Creドライバーマウス(RBRC11687: Oxtr<1xPA-iCre>)、PAタグマウス(RBRC11688: Oxtr<3xPA>)を開発しました[2]。OXT-OXTRシグナルは、基礎研究のみならず、臨床面においても注目されているトピックスであり、これらの4系統の幅広い分野での応用利用が期待されます。

 

Keywords : オキシトシン、オキシトシン受容体、iCre、tdTomato、PAタグ
Depositors : 井上高良先生、井上(上野)由紀子先生 (国立精神・神経医療研究センター)
Strain name : B6;Cg-Oxtr<em1(1xPA/T2A/tdTomato)Yinn>
RBRC No. : RBRC11686
Strain name : B6;Cg-Oxtr<em2(1xPA/T2A/icre)Yinn>
RBRC No. : RBRC11687
Strain name : B6;Cg-Oxtr<em3(3xPA)Yinn>
RBRC No. : RBRC11688
References : [1] オキシトシン産生ニューロンCreドライバーマウス
今月のマウス 2022年8月
[2] Inoue YU, Miwa H, Hori K, Kaneko R, Morimoto Y, Koike E, Asami J, Kamijo S, Yamada M, Hoshino M, Inoue T.
Targeting Neurons with Functional Oxytocin Receptors: A Novel Set of Simple Knock-In Mouse Lines for Oxytocin Receptor Visualization and Manipulation.
eNeuro. 2022 Feb 15;9(1):ENEURO.0423-21.2022.

 

September 2023
Saori Mizuno, Ph.D.
Contact: Experimental Animal Division, RIKEN BioResource Research Center (animal.brc@riken.jp)
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